三峰、山の幸の恵みあれ(三峰神社)
令和3年6月24-27日。
最近の天気予報を見たら、台風が近づいているとの情報が飛び込んできました。
進路次第ですが、週末あたり大島にも影響があるかもしれません。
車のガソリンは満タンにして、備蓄も見直して、気を引き締めておきたいところですね!
今回は、偶然見つけた小さな神社のお話です。
TOPIC No.176
「三峰神社」
伊豆大島の北西部、大島空港の外周に位置する小道に、ひっそりとあるのがこの三峰神社です。
説明看板が立っているおかげでここが神社だと気づけるような立地。
この神社にはどういった縁起があるのか気になり、立ち寄ってみました。
車を停めて手前にある説明看板を読んでみることにします。
三峰は通称ミツブネと呼ばれる。かつての、割れ目噴火によってできた側火山である。同じ側火山である地の岡より新しく、赤禿や愛宕山よりは古い山とのことである。
三原山側南々東から北々西海岸より並んで三つの峰がある。高さは、中間の三峰神社のある峰が、61.1mあり、他の峰はそれより低い。神社は、昭和60年10月に建て替えられた。
三峰神社創設の縁起については正確なことは分らない。何時の頃か、マンタテ浜に地蔵さんが流れつき、その地蔵さんをマンタテ浜に祠を建ててお祀りした。祭礼日を設けて角力を奉納したこともある。今の地に遷したその時にすでに地蔵尊はなかったとのことである。地元では、地蔵さんが伊豆の方から流れて来たので、今後、三島大社の末宮にしてもらうよう運動していくとの話もあるようです。
祭礼は、8月13日から15日の3日間である。
まず、「三峰」とはどういう意味か。
それは説明のとおり、大島北西部にある側火山のことを指すらしいです。
3つの峰があるから、この名称とのことで覚えやすいですね。
そもそも、火山は三原山一つではなく、側火山にもそれぞれ名前があったことを知り、勉強になりました。
さて、興味深いこの神社の縁起はというと…正確には分からないのですね。残念。
一説によれば、漂着したお地蔵さんを祀ることに始まった様子。
伊豆に本社を構える三嶋大社の末宮としてもらうようはたらきかけているということですから、御祭神はいずれ、山祇命(おおやまつみのみこと)と積羽八重事代主神(つみはやえことしろぬしのかみ)になるのでしょうか?では現在の御祭神は…?
うーん気になる。
そんなことを考えながら、参拝するために石段を登ります。
石段の両端は木々が生い茂っており、この時期は緑も濃く気持ちが良いです。
これまた両端にある緑色のポールみたいなものですが、これは祭礼の時に旗でも付けるものかなぁと勝手に推理。
鳥居に着きました。赤褐色の落ち着いた鳥居です。
一礼をしてくぐります。
石段を見ると、隙間からは小さな雑草がいくつか生えています。
しっかり手入れされているは言い難いですが、個人的にはこれくらいの方が自然の中に溶け込んでいるかんじがして好きです。
本殿に着きました。
先ほどの鳥居からするともう少し大きい本殿をイメージしていましたが、小ぶりな出で立ちでした。可愛らしいです。
本殿の右脇には、氏子さんが建てた説明碑がありました。
こちらの方が10年後に建てられており、最新の情報が分かりそうです!
三峯神社の縁起は、この地の先達がいつしか祠を建て地元住民の幸を祈ってきた事に由来します。
近年は、初詣での行事に続き、毎年8月15日を祭礼日として奉納芸能大会や山車の巡業などで地域との絆を深めてきました。
この度、神社の祭神として「穂穂手見命(ほほでみのみこと)」を迎え、これまで私達心の内にある「命(みこと)」と共に鎮座、合祀する事といたします。
「瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)」を父に「木花開耶媛命(このはなさくやひめのみこと)」を母とする「穂穂手見命」は永く神話に語られている、山を守り幸を授ける「山幸彦」です。五穀豊穣、子授子育、一家繁栄などの神としてよく知られています。
これからも、受け継がれてきた祈りの姿を、いつまでも伝えると共に、地域の発展と安泰を願うものです。
なるほど!今の祭神はなんだ?と気になっていたところですが、この説明で全て解決しました。
まず創設当初は、御祭神はおらず、我々の心の内で各々が幸を祈るかたちだったようです。その後、この平成16年頃からは「穂穂手見命」を迎えることになったわけですね。
『古事記』によれば、穂穂手見命は、3人兄弟の末っ子であり、
火の始まりから終わりに位置づけて名付けられています。
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長男:火照命(ほでりのみこと)=ほ(火が)でり(照り輝く)
次男:須勢理命(ほすせりのみこと)=ほ(火が)すせり(燃焼が進む)
三男:火遠理命(ほおりのみこと)=ほ(火が)おり(衰える)
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この兄弟の話で有名なのが、火照命と火遠理命の「海幸山幸」の話なのですが、話が横道に逸れすぎてしまうので割愛。
ja.wikipedia.org(気になる方はこれ読んでみてくださいね)
ここで意識すべきは、祀っている穂穂手見命は、火遠理命(=山幸彦)であるから、
説明されているとおり、五穀豊穣、畜産守護や子孫繁栄など、この地域に必要なご利益をもたらしてくれる神様だということです。
入口にあった三嶋大社の末宮にする、という動きとは異なりますが、
仮にそうなっていたとしても、御祭神の大山祇命が山森農産の守護神なので、結果としてもたらされるご利益としては似たようなものなのかもしれませんね。
ちなみに、大山祇命は、木花開耶媛命の父とされているので、穂穂手見命とは、祖父と孫の関係と言えるんですよね。意図したものか、それとも偶然か、不思議な縁を感じずにはいられません。
日本神話の勉強をさせてもらいつつ、この地の繁栄を願い、
神社を後にするのでした。
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さて、明日も頑張っていきます。🐟